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旧東京中央郵便局長室(KITTE丸の内)にて撮影
「ゆうちょ銀行とは、どのような銀行ですか」 ―― 社長就任以来、投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまから最も多く寄せられる言葉です。私は、この問いを真摯に受け止めてきました。改めて、申し上げます。私たちは、「お客さまからお預かりした信頼を、未来へつなぐ銀行」であり、この歩みを着実に進めることが私自身の使命です。世界は今、大きく動いています。その中で、この問いに向き合い、耳を傾け、未来を描く過程で、私自身も当行や日本郵政グループの強みを再認識してきました。
その強みの源泉は、全国2万を超える郵便局ネットワーク、そして、約1.2億口座という日本最大級の強固な顧客基盤です。これは当行にとってかけがえのない財産であり、歴史を歩む中で、日本全国あらゆる地域で、お客さまの日常に寄り添い続け、ともに紡いできた信頼の証でもあります。
一方で、私たちのビジネスは、いわゆる一般的な商業銀行にみられる、「預金で調達した資金を貸出を通じて収益化する」といったビジネスモデルとは異なり、全国のお客さまからお預かりした大切な貯金を原資に、グローバルなマーケットで資金運用することで収益を創出しています。私たちがお預かりしている貯金は、単なる資金ではありません。それは「信頼」という、目に見えない、しかし最も大切な資産です。この信頼の重みを胸に、責任ある運用を行うこと ―― これが当行のお客さまへの約束です。日本全国に根差したリテールバンクであると同時に、世界有数の巨大な機関投資家でもある。この二面性を持つビジネスモデルこそが、ゆうちょ銀行を唯一無二の存在にしており、この「顧客基盤」と「運用力」の掛け合わせが、当行が他行と一線を画する本質的な強みだと考えています。
市場運用においては、当行は絶えず変化する金融環境に対し、機動的に対応してきました。かつて日本国債が中心だったポートフォリオに、外国証券やプライベート・エクイティ(PE)、不動産といったオルタナティブ資産を組み入れる「運用のパラダイムシフト」を大胆に遂行し、グローバルな機関投資家としての地位を確立しました。私自身、ゆうちょ銀行がさらなる発展を目指して上場した2015年11月4日の前営業日に入社し、まさに、この運用改革を担う一員として力強く推進してまいりました。
2023年以降は、日本に「金利のある世界」が戻り、新たな発展の局面を迎えています。当行は、金利上昇局面で「円金利ポートフォリオの再構築」を開始し日本国債への投資を積み上げる一方、環境変化に耐え、さまざまなリスクに対応できる体制の高度化に取り組み、機動的に運用ポートフォリオを見直してきました。その結果、ここ数年の収益は右肩上がりで推移し、2025年度には3期連続で上場来最高益を達成しました。
ゆうちょ銀行は、唯一無二の強みを最大限に活かしながら、真の金融プロフェッショナル ―― すなわち、お客さま本位を前提とした金融コンサルティングと機関投資家としての運用力を、より高いレベルで両立する存在となるべく、新たな成長ステージに踏み出します。私には、頼もしい社員という仲間がいます。役職員一丸となって、企業価値向上に向けた歩みを、さらに力強く進めてまいります。
この1年、日本を代表する金融機関のひとつとして、国内外の政府要人、世界の名立たるCEO、アセットマネージャーなど、トップクラスの方々と金融・経済の現状等について率直に意見交換をする機会を多くいただきました。そうした中で、さまざまな立場の方とマーケットビューを共有することは、市場を俯瞰して捉えるうえで大変有意義であり、新たな発想や気付きを得る貴重な機会にもなっています。
日本の金融市場はこの1年で、大きな転換点を迎えました。その変化は資本市場からの評価にも表れており、当行を含む多くの銀行がPBR1倍を超えるなど、特に銀行業への期待感は顕著に高まっています。当行においては、株価は最高値を更新し、時価総額が10兆円を突破する等、上場来の記録を大きく塗り替えました。
私はこれを単なる市況の追い風とは捉えていません。これまで進めてきた構造改革や未来を見据えた取り組みが、ようやく資本市場から評価され始めた結果だと考えています。
直近では、ゆうちょアセットマネジメント株式会社の設立、ブロックチェーン技術を活用したトークン化預金による新たな決済サービス、若年層向けの新たなクレジットカード、クラシル社やneoAI社等のパートナー企業との提携など、新しいビジネスに向けたさまざまな取り組みを公表した際には、大きな反響をいただきました。従来の「伝統的な銀行」のイメージを超え、「新しい金融を創る主体」としての可能性を、多くの皆さまに期待を持って受け止めていただけたものと感じています。
一方で、日本郵政グループにおける情報の不適切な取り扱いなど、グループガバナンスの視点で向き合うべきテーマや課題も明確になりました。
このように、当行の未来に向けた視界は明るいと考えていますが、企業経営を航海になぞらえるならば、私自身はゆうちょ銀行という大きな船の船長であり、常に進むべき航路を示し続けることが役割だと考えています。荒波の中でも進むべき方向を定め、未来の針路を示していく ―― その思いのもと、2040年に目指す姿として「中長期ビジョン」を策定し、これを実現するための第一歩として、2026年5月に新・中期経営計画を公表しました。私たちは今、まさに非連続的な成長に向けた新しいステージの入り口に立っています。この大きな変革期を乗り越え、さらなる高みを目指してまいります。
2040年にありたい姿として掲げた中長期ビジョンの一つ目は「お客さまの多様なニーズに応え、人生に伴走する日本随一の総合金融プラットフォーマー」。二つ目が、「国内外への投資を通じ、お客さまの資産価値向上とサステナブルな社会の実現を目指す世界有数のマーケットプレイヤー」となることです。
「総合金融プラットフォーマー」には、多くのお客さまにあまねく利用いただく銀行として、「郵便局・ゆうちょ銀行なら、人生のあらゆる場面で、いつでもどこでも金融面で寄り添い続けてくれる」といった、お客さまにその安心と利便性を実感していただきたいという思いを込めています。「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」 ―― 日本郵政グループの原点、「日本近代郵便の父」前島密翁の信条は、まさに私たちが目指す「総合金融プラットフォーマー」の姿勢そのものです。今後も、私たちは盤石な体制のもと、お客さまの多様化するニーズに応え、人生に伴走し続けてまいります。
一方、「世界有数のマーケットプレイヤー」には、「世界から認められる存在になっていく」という強い意志を込めています。私たちのビジネスモデルはバランスシートに大きな特徴があります。一般的な商業銀行とは異なり、ゆうちょ銀行は、貯金(負債)を国債・外国証券等の有価証券(資産)で運用し、巨大なアセットオーナーとして運用収益を上げるというものです。お客さまは大切なお金とともに私たちに信頼を預けてくださっています。だからこそ、その信頼に応えるため、責任を持って、お預かりした資金を長期的視点で運用し、その成果をお客さまや株主の皆さまへ還元するとともに、自らの成長投資にも活用し、新商品・サービスとしてお客さまへお届けし、当行をいっそう長く深くご利用いただく ―― この好循環を創り出していきます。
そして、これまで「アセットオーナー」として培ってきた運用力を基盤に、市場運用ビジネスそのものを成長領域として確立していきます。とりわけ、金融市場環境の変化が経営に与える影響が大きい当行においては、環境変化に応じた判断や対応を迅速に行えることが経営には不可欠で、実際にその手応えを感じています。そして、「貯蓄から投資へ」の流れを見据えて進めてきた取り組みのひとつが、2026年4月に設立した「ゆうちょアセットマネジメント株式会社」です。新会社では、当行の運用スケールを活かした投資機会の共有、アセットオーナーの視点に立った商品提供、そしてこれまで個人のお客さまには開かれてこなかった運用機会の提供を通じて、特色あるアセットマネジメントビジネスを展開し、高まる投資ニーズに応えるため、私自身が、例えば、「もし自分が20代に戻ったら投資したい」と思えるような真に価値ある運用商品をお届けしていきます。
そのためには、単なる商品ラインアップの拡充ではなく、これまで機関投資家にしか提供されてこなかった高度な運用商品を、個人のお客さまにも届けたいと考えています。それもまた、私たちの市場運用ビジネスの発展に加え、政府が掲げる「資産運用立国」の実現に向けた、ゆうちょ銀行が果たすべき社会的役割であると考えています。
また、中長期的な地域経済活性化への貢献を目的として、2026年4月に「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」において、地域事業承継を目的とした300億円規模の旗艦ファンドを組成しました。こうした将来を見据えた種まきが可能となっているのは、「金利のある世界」のもと、腰を据えて骨太な施策を検討できる経営環境を整えてきたからだと感じています。
ゆうちょ銀行の強みを最大限に発揮し、資金循環の新たなモデルを創出することで、世界から認められ、選ばれる金融機関へ成長していきたい、その思いをいっそう強めています。
ここまでお伝えしてきた中長期ビジョンを実現するための第一歩と位置付ける新・中期経営計画(2026-2028年度)では、最終年度である2028年度の当期純利益を2025年度の5,255億円から1兆円超へ倍増し、ROEは5.3%から10%程度に引き上げることを掲げています。これらは従来の成長トレンドとは一線を画す非連続な成長を目指すものであり、変化の大きい環境下において、ゆうちょ銀行を次の成長ステージへ導くという私自身の強い覚悟を込めております。これらの目標は計画を着実に実行すれば十分に実現可能であると手応えを感じており、計画達成に向けて自信を持って進めてまいります。
当行を取り巻く環境が劇的に変化する中でも、当行が企業価値向上の歩みを着実に積み重ねてこられた背景には、ここ数年の取り組みの成果があります。円金利ポートフォリオの再構築等を通じたポートフォリオの機動的な見直しにより、収益構造の安定性と持続性が一段と高まったことに加え、お客さま接点の起点となるゆうちょ通帳アプリは邦銀屈指の規模へと成長し、デジタルチャネルを通じた価値提供力が大きく向上しました。また、日本郵政株式会社による二度の株式売出しを経た民営化プロセスの大きな前進は、当行の事業展開にいっそうの自由度と機動性をもたらしました。こうした変化を背景に、ステークホルダーの皆さまからの高い期待感を肌で感じており、協業や新規事業に関する多様な提案やご意見をいただく機会も増えています。社内でも日々議論を深めており、これもまた、企業体として強くなっていく重要なプロセスかつ将来の企業価値向上に向けた重要な機会であり、大きな財産であると私は考えています。こうした環境変化と議論も踏まえ、新・中期経営計画では、中長期ビジョンを成し遂げるための2つのミッションと、その達成に向けた4つの事業戦略を定めました。新・中期経営計画の3年間がきわめて重要な成長期間になると確信しています。
当行は200兆円超の資産を有しています。この巨大な資産基盤をいかに活用し、持続的な価値創造の好循環を構築するか、これこそが新・中期経営計画の核心です。日本国債への投資推進に加え、クレジット資産や、PE・不動産などの戦略投資領域のリスク・リターン向上による運用収益拡大、ATMや決済サービスなどの役務収益増加に取り組んでいきます。
また、新しいビジネスを積極展開していくためには、成長投資も欠かせません。特にAIに関しては急速な技術展開がみられますが、当行が重視するのは、お客さまにとっての体験価値向上や抜本的な生産性向上に直結するかどうかという視点です。そして、当行には約1.2億口座を支える日本最大級のシステム基盤があり、この基盤の安定運用は事業運営の根幹を成します。戦略的な投資だけでなく、お客さまに安心・安全なサービスを提供するためのインフラにも投資をしていきますし、金融機関としての安定性を確保するためのサイバーセキュリティ対策にも万全に取り組んでまいります。インフレ環境下であり、一定のコスト増も想定されますが、必要なIT投資や人的資本への投資を着実に進めつつ、営業経費増加を適切にコントロールしていきます。そして、周囲に流されず、自分たちがやるべきことを見極めてまいります。
こうした投資を進めながらも、2028年度の当期純利益は1兆円を超える水準を実現できると見込んでいます。ただし、収益の拡大は当然重要であるものの、重視すべきはお客さまの利便性を高め、長期的な信頼関係を築くことだと考えています。投資家の皆さまにとって、投資先としての当行の魅力は、利益成長の可能性を有すること、そして何より長年にわたり培ってきた圧倒的な信頼感にあるのではないかと私は考えています。非連続な成長フェーズに入るこれからの3年間は、当行にとってきわめて重要な時期であるとともに、私自身にとっても大きな挑戦であり、楽しみでもあります。社会的価値と経済的価値を両立し、中長期的にサステナブルな企業へと成長していくため、経営の先頭に立ち、責任を持ってやり遂げる覚悟です。
ゆうちょ銀行という大きな船を動かす最大の原動力は、役職員一人ひとりの力と、その結束によって生まれる組織力にほかなりません。成長過程にある当行が着実に前進していくには、それぞれが挑戦し続けるマインドを持ち、組織として力を結集していくことが不可欠です。私は経営において、「組織の力をいかに最大化するか」を最も重視しています。同じ船に乗る社員でも、一人ひとり価値観やバックグラウンド、視野も異なれば、最も重視する時間軸も異なります。しかし、組織全体が一本の線となって同じ方向を向き、双方向のコミュニケーションがしっかりと機能している組織は強い ―― 私はそう考えています。
この考えは、2024年6月に私自らが委員長となって発足した「みんなの声委員会 -ECHO-」を通じて実現に向かっています。ECHOでは、組織文化・風土改革、生産性向上、新規ビジネス創造、既存ビジネス点検の4つのテーマでチームを組成し、委員会発足3年目となる2026年度は社員自らの応募により総勢約150人態勢で取り組んでいます。若手からベテランまで、さまざまな部門の社員が、自ら「会社を良くしたい」という熱い思いで参加し、活躍してくれています。少しずつですが、それでも確実に当行が良い方向に変わり始めている、その息吹を感じ始めています。
また、社長就任以来、私は全国の拠点を訪れ、社員の声に耳を傾けてきました。就任後の2年間で140を超える組織の社員と直接意見を交わす機会を得ました。これは私が最も大切にしている取り組みのひとつであり、今後も継続していきます。なぜ拠点訪問にこだわるのか ―― それは、全国に広がる素晴らしい拠点の数々と、そこで働く優秀な社員の姿を自らの目で確かめ、その価値を、私自らが投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまに、自信を持ってお伝えしたいからです。
こうした社員の力を最大限に引き出すため、人的資本経営とサステナブルな経営体制の構築を加速させています。例えば、ライフステージに応じた働き方の実現、AIを含むデジタル活用の強化を進めるとともに、役員にはタフアサインメントを課すなど、次世代リーダーの育成に自ら携わっています。社長職のサクセッションプラン検討は、指名委員会が担いますが、幸いにも当行のビジネスを力強く牽引する役職員に恵まれておりますし、私自身、社外取締役から厳しくも温かい助言をいただくことも多く、大変心強く感じています。
これまで歩んできた歴史とともに培われた、ゆうちょブランドへの揺るぎない信頼。
この信頼を礎に、変革を恐れず、新たな価値創造に挑戦してまいります。ステークホルダーの皆さまとともに、ゆうちょブランドをさらに高め、持続的な成長を実現すべく、全力を尽くしてまいります。
大学では理工学部応用化学科で高分子を研究し、実験漬けの毎日を送っていました。そんな中、とある先輩との出会いをきっかけに産業金融に関心を持ち、「日本の産業を活性化し、社会に貢献したい」という想いで金融業界に飛び込んで早30年。今まさにその最前線に立ち、仲間たちとともにこの国の未来を創り、次世代へつないでいくという挑戦に大きな期待を膨らませています。
私のキャリアは日本長期信用銀行の激動期から始まりました。奇しくも金融業界の大転換とともに歩んできたことになります。しかし、私を形づくってくれたのは、制度でも理論でもありません。あの土地、あの時代、一つひとつの出会いと巡り合いです。
岡山、神奈川、富山、大阪、広島 ―― 少年時代を過ごしたこれらの地で得た縁は、今もなお私を支え、突き動かす原動力となっています。
“最も身近で信頼される銀行”の一員として、人々の生活に寄り添い、日本社会を成長させていくこと。これが、私が挑み続ける志です。
ゆうちょ銀行はこの度、MLBロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平選手とブランドアンバサダー契約を締結しました。
大谷選手が、絶え間ない努力の積み重ねを通じて自らの夢を叶え、世界を舞台に前人未到の挑戦を続ける姿は、日本中に勇気と希望を与え続けています。
一方で、選手としての活躍以外にも、スポーツ等を通じて日本の子供たちや地域の未来を応援する様々な活動に関心を持って取り組んでいます。
このような大谷選手の姿は、ゆうちょ銀行が目指す中長期ビジョンを体現していると考えております。
ゆうちょ銀行はこれからも大谷選手と共に、日本の活気ある社会と地域の発展に貢献してまいります。
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