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CFOメッセージ

新村真専務執行役の正面写真
すべてのステークホルダーへの還元を最大化し、企業価値向上へと向かう航路を切り拓く

専務執行役

新村 真

新・中期経営計画(2026-2028年度)の船出を迎えて

「羅針盤の示す先とその具体的な道のりについては、統合報告書やIR 活動などを通じ、分かりやすく発信していきます」と記載した昨年の統合報告書から一年。ようやく新・中期経営計画の船出を迎えました。今年度から2028年度までにわたる新・中期経営計画は、当行にとって大きな潮目となると考えています。

新・中期経営計画では、当行を取り巻く内外環境の変化を捉えつつ、パーパスと経営理念からバックキャストし、15年後にありたい姿として2つの「中長期ビジョン」を定めました。多様化し続けるお客さまのニーズに応え、日本全国いつでも、どこでも、リアルとデジタルを通じて金融商品・サービスを提供する「日本随一の総合金融プラットフォーマー」。また、全国の郵便局・店舗ネットワーク等を介して約1.2億人のお客さまからお預かりした約180兆円の貯金を原資に、最適なポートフォリオと収益を実現するとともに、アセットマネジメントビジネスにも取り組む「世界有数のマーケットプレイヤー」。この2つのビジョンが当行の羅針盤の示す先です。

役職員一丸となって同じ船に乗り、ビジョン達成に向けて力強く推進してまいります。新・中期経営計画の詳細については、P.28にも掲載しておりますので、そちらもご参照ください。

2025年度の振り返り ―新・中期経営計画の出港地―

2025年度は、米国の関税政策による不確実性が継続する中においても、世界経済は米国を中心に総じて底堅く推移しました。日本経済は、内需の持ち直しもあり緩やかに回復する中、日本銀行は2025年12月に政策金利を引き上げました。一方で、2026年2月以降の中東情勢の緊迫化を受け、マクロ環境の先行きはいっそう見通しにくくなっています。国内金利環境等の金融機関経営にとって追い風となる変化もある一方、同時に地政学リスク等の波の変化への備え――すなわちリスクマネジメントの重要性をいっそう高めるものでもあります。今後も、変わりゆく事業環境を丁寧に見極めながら舵取りをしていきます。

当行は、国内金利上昇を受け、預け金から日本国債へのシフトを着実に進めるとともに、市場の変化に応じてリスクを適切にコントロールしながらリスク性資産へ投資してきました。結果として、当期純利益は5,255億円と、3期連続で上場来最高益を達成することができました。

1株あたり配当金は、2023年度は51円、2024年度は58円と順調に増加してまいりましたが、2025年度は74円と、過去最高の配当となりました。また、2025年12月~2026年3月にかけて、株主還元強化および資本効率向上を企図した自己株式の取得を行いました。着実な利益成長と、それに応じた株主還元の強化ができたことは、新・中期経営計画の船出に向けた良い準備であったと考えています。

  図1   財務目標の達成状況(連結)

図表:財務目標について、2025年度の当初計画(2025年5月公表)と修正後計画(2026年2月公表)、2025年度の実績及び2026年度の計画(2026年5月公表)
  • ※ バーゼルⅢ最終化、その他有価証券評価益除くベース(2025年度計画および2026年度計画は完全適用ベース)

  図2   当期純利益および1株あたり配当金の推移(連結)

棒グラフ:当期純利益および1株あたり配当金の推移(連結)

持続的な企業価値向上は経営の本懐

CFO(財務・資本戦略担当役員)は、航海士として、変化する事業環境の中、適切な財務戦略を通じて当行の成長を支え、持続的に企業価値を向上させることが求められます。

2025年度は、3期連続の増益となり、かつPBRも一時的に1倍超を達成しましたが、国内大手行に比べると見劣りする状況が続いています。企業価値向上は道半ばであり、依然として大きな課題であると認識しています。

当行では、PBRをROEとPERに分解して分析しておりますが、図3のとおり、まずは大手行対比見劣りするROE の水準を早期に引き上げることが必要と考えています。今回の中期経営計画は、中長期ビジョンの実現を目指すことを通じて、結果的に企業価値を大きく高める計画でもあります。

  図3   PBRとROEの相関関係(他行比較)(連結)
折れ線グラフ:PBRとROEの相関関係(他行比較)(連結)
  • ※ ROEは株主資本ベース。
  • ※ 当行のみ時系列で記載。
  • ※ 他行は都市銀行、地方銀行等。いずれも公表資料をもとに作成。
  図4   PBR※1(株価純資産倍率)(連結)
散布図:PBR※1(株価純資産倍率)(連結)
  • ※1 各年度末における株価、1株あたり純資産額から算出。なお、単位未満の端数を四捨五入して算出。
  • ※2 三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの単純平均値。

図5にあるとおり、新・中期経営計画でお示しした4つの事業戦略とこれを支える経営基盤の高度化策はROE 改善とPER 上昇に直接寄与するものです。全役職員がすべての階層で自らの役割期待を果たすことが、企業価値向上に加え、社会にポジティブなインパクトを与え、結果的に株主・社員を含むステークホルダーにメリットをもたらすと考えます。

  図5   持続的な企業価値向上のためのサイクル

図表:持続的な企業価値向上のためのサイクル
※ PBR = ROE × PER = ROE (株主資本コスト - 期待利益成長率)

ROEの持続的な向上 ―高い利益目標の達成に向けて―

新・中期経営計画では、2028年度の目標として「ROE10%程度」、「当期純利益1兆円超」を掲げ、過去の成長曲線を大きく上回る、非連続的な利益成長トレンドを描いております。これらの利益目標は、当行を取り巻く環境や課題を踏まえ、達成が容易な低いハードルではなく、役職員が一丸となって挑戦し、到達すべき水準として掲げたものです。

  図6   利益計画のロードマップ

グラフ:利益計画のロードマップ
―事業戦略の着実な推進―

高い水準の目標をクリアするためには、新・中期経営計画で定めた4つの事業戦略の着実な推進が鍵となります。

当行は、全国の郵便局・店舗ネットワーク等を介して約1.2億口座の個人を中心とするお客さまから約180兆円の貯金をお預かりしていますので、まずは、この顧客基盤のさらなる充実に取り組んでいきます。

「デジタルペイメント事業戦略」では、1,600万人を超えるお客さまにご利用いただいているゆうちょ通帳アプリを戦略的に活用することで、これまでの「安心・安全・便利」に加え、「お得」なサービスを展開します。

「コンサルティング事業戦略」では、パートナー企業との提携も視野に、商品・サービスのラインアップを拡充し、「リアル×リモート×デジタル」のさまざまなチャネルでサービスを提供していきます。これらの取り組みにより、お客さまに選ばれる金融機関となり、役務収益拡大と顧客基盤強化を実現したいと考えております。

また、お客さまからお預かりした資金を運用し、当行の収益最大化を図るのが「市場運用・アセットマネジメント事業戦略」です。国内金利上昇の追い風を受け、日本国債等の円金利資産からの収益は加速しています。一方、リスク性資産への投資についても、RORA(Return on Risk-weighted Assets)等の指標を活用しながら、リスク対比リターンを意識した投資を継続します。2026年4月には、これまで培ってきた運用力を活かして、アセットマネジメントビジネスに挑戦するため、ゆうちょアセットマネジメント株式会社を発足させました。個人顧客の資産形成を担ってきたJP 投信株式会社とプライベートエクイティファンド投資を中心に機関投資家向けビジネスを展開してきたJPインベストメント株式会社のそれぞれの強みを結集することで、国内での資産運用立国への機運の高まりに応えていきます。

「地域・企業ソリューション事業戦略」では、ゆうちょキャピタルパートナーズを中核に、従来取り組んできた国内プライベート・エクイティ投資をさらに進めるとともに、地域金融機関とのコラボレーションや法人向けサービスの充実を図ることを通じて法人顧客基盤を強化していきます。

これら4つの事業戦略の着実な推進が、ROE の“R” 向上の推進力になると考えております。

―経費コントロール―

ROE の向上には、事業戦略の推進を通した収益力の向上に加え、メリハリある経費コントロールが不可欠です。銀行の信用を支える最重要領域であるサイバーセキュリティやAML/CFT/CPFへの投資は引き続き行いつつ、AIをはじめとする生産性向上施策への戦略的投資を積極的に進めてまいります。また、社員の処遇改善を含む人的資本への投資にも継続して取り組みます。

新・中期経営計画期間を通じ、経費全体としてはインフレ率(約3%/年)を目安とした増加に抑制し、効率性と成長性の両立を図ることで、OHRは40%程度を目指してまいります。

※ マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与・拡散金融防止。

  図7   経費計画(営業経費・OHR※1

グラフ:経費計画(営業経費・OHR※1)
  • 注 2025年度(実績)に増減の合計を加えたものが、2026年度(計画)の数字と一致しないのは、端数処理等の関係によるもの
  • ※1 金銭の信託運用損益等を含むベース
  • ※2 戦略的成長投資に係るシステム経費を除く
  • ※3 新・中期経営計画の事業戦略の推進や経営基盤の高度化等に伴う成長投資に係る経費
―資本コントロール―

資本政策は、新・中期経営計画策定において特に重点的かつ慎重に議論が交わされたテーマです。当行の資本政策は、図8に示すとおり、財務健全性を確保しつつ、成長投資による利益成長を実現し、株主の皆さまに還元するというサイクルの最大化を基本方針としております。

また、当行は、全国津々浦々のお客さまにとって「最も身近で信頼される銀行」を目指しています。この“信頼”を損なうことのないよう、従来は守るべき資本水準を設定しておりましたが、新・中期経営計画では、資本の蓄積が進むことを踏まえ、当行のポートフォリオ特性や各種シミュレーション等を通して「目標とするレンジ」を設定する考え方に修正しております。

今後も、市場環境等を注視しつつ、株主還元、財務健全性、成長投資の3つの最適解を追求し、適切な資本コントロールに努めてまいります。

  図8   資本政策の方針

資本政策の方針
①株主還元のさらなる拡充

株主還元は、資本政策の最重要テーマのひとつです。新・中期経営計画期間中は、配当性向を50%程度とし、利益成長に応じた累進的な配当を実施する方針です。2026年度の1株あたり配当金は2025年度から19円増額の93円を予定しており、利益成長に沿った配当拡大を図ってまいります。また、前中期経営計画最終年度である2025年度には、目標を上回る利益水準を確保したことを踏まえ、株主還元の強化および資本効率向上を企図した自己株式の取得を実施しました。2026年度以降の自己株式の取得についても、市場環境、成長投資の機会、日本郵政グループの当行株式保有方針等を踏まえ、随時検討してまいります。今後、目標を超えるペースで利益が積み上がった場合などは、資本余力に鑑み、何らかの形で株主の皆さまに追加的な還元を検討していきたいと考えております。

②財務の健全性確保

当行は国内基準行であるものの、海外向け与信の大きさ等から、国際統一基準であるCET1比率を用いて内部管理を行ってまいりました。平時の目標水準については、前中期経営計画では「10%程度」としていましたが、運用資産に占める有価証券投資割合の高さといったポートフォリオ特性等を踏まえたシミュレーションを重ねた結果、目標レンジを「11〜13%程度」へと見直しております。水準に応じた基本的な対応方針は図9に記載のとおりです。今後とも、マーケット環境を注視しつつ、レンジ内で資本コントロールを行い、財務健全性を意識した資本運営を行います。

  図9   資本運営方針とキャピタルアロケーション

資本運営方針とキャピタルアロケーション
  • ※ バーゼルⅢ最終化(完全適用)、その他有価証券評価益除くベース。当行は国内基準行(規制上の所要自己資本比率:4%以上)であるが、海外向け与信の大きさ等から、国内の大規模金融機関と同水準の資本管理を目指す考えに基づき、CET1比率で内部管理を実施。なお、CET1比率(バーゼルⅢ最終化・経過措置)および自己資本比率(国内基準)についてもモニタリングを実施。
    当行は、市場性有価証券への投資割合が他行比で高い状況であることに加え、足許の市場環境等を踏まえ、ターゲットレンジを設定。
③成長投資

ROE 向上ならびに当行の中長期的な成長を維持するため、従来以上に積極的かつ戦略的な成長投資に取り組んでまいります。それと同時に、RORAに代表されるリスク・リターン指標の改善につながる市場での投資も引き続き着実に進めていく方針です。

当行の現在の収益構造は、市場運用が大きな割合を占めています。そのため、戦略的な成長投資を通じてリテール分野やアセットマネジメント分野などの収益力の強化を図り、市場環境の変動に左右されにくい収益基盤の構築を目指します。

PER(期待利益成長率)の向上 ―株主資本コストの低減とサステナブルな成長の実現―

―株主資本コストの抑制―

新・中期経営計画では、株主資本コストの捉え方についても議論を深めてきました。複数の手法で算出した結果、当行の株主資本コストは6〜8%の水準にあると認識しています。ただし、これはあくまで計算式に基づく参考値に過ぎず、投資家の皆さまとの対話を通じ、マーケットからの意見を考慮しつつ、目線を修正していきたいと考えています。株主資本コストの抑制にあたっては、収益のボラティリティを低減させ、安定的な利益成長を実現することが重要です。また、サイバーセキュリティをはじめとする各種事業リスクに対し、適時適切に対応していくことも不可欠であると認識しています。

今後も投資家の皆さまとの対話を重ね、ネガティブサプライズのない透明性の高い経営の実現に努めてまいります。

―期待成長率の向上―

当行は、本邦最大級のリテールネットワークを有する金融機関であると同時に、世界有数の機関投資家としての機能も担っています。これらの強みを活かし、4つの事業戦略を着実に推進することで、利益成長および企業価値の向上に取り組んでまいります。また、「最も身近で信頼される銀行」を目指し、金融プラットフォームへの安定的なアクセスの確保、サステナブルな環境・社会の実現、そして活力ある地域社会の実現など、社会課題の解決にも貢献していきたいと考えています。

当行の株価は、国内金利上昇を追い風に今年に入り上場来最高値を更新していますが、銀行業は一般的に市場環境の影響を受けやすい業種でもあります。新・中期経営計画に基づく各種戦略を着実に推進することで、外部環境に左右されにくい、当行独自の揺るぎない信頼と価値を築いていきたいと考えています。

株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆さまへ

2025年11月に新・中期経営計画の骨子を公表した際には、皆さまから多くのご意見・ご期待をお寄せいただきました。当行の新たな戦略に関心をお持ちいただいたこと、そして厳しくも温かいご指摘の一つひとつに、改めて感謝申し上げます。

骨子公表から約半年、いただいたご意見と真摯に向き合い、行内での議論を重ねたうえで、本年5月の正式公表に至りました。今後、この新・中期経営計画を着実に推進し、ビジョンの達成を目指して航海を続けていきたいと思います。

今後もIR活動等を通じて皆さまからのご意見に丁寧に耳を傾け、経営に適切に反映させることで、企業価値の持続的な向上を図ってまいります。引き続き、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(参考)IR活動実績(2025年度)

活動 内容
第19期定時株主総会(2025年度) 2025年6月24日開催
個人投資家向け説明会 経営陣等による個人投資家向け説明会を開催
開催回数:8回、参加人数:1,178名
投資家説明会 取締役兼代表執行役社長による、機関投資家・アナリスト向けの説明会を半期ごとに実施
開催回数:2回、参加人数:242名
機関投資家・アナリストとの面談 IR担当執行役を中心に、取締役兼代表執行役社長も含めた経営陣による、国内・海外の機関投資家・アナリストとの個別面談等を実施
面談社数:695社(うち海外機関投資家:438社)
証券会社主催機関投資家向けカンファレンス 証券会社主催のカンファレンスに参加し、IR担当執行役による海外機関投資家との個別面談を実施
参加回数:8回
その他IRイベント 社外取締役と機関投資家との対話の機会として、今後当行が目指すべき将来像・課題や資本コストおよびROE等に関する社外取締役スモールミーティングを実施
第20期定時株主総会(2026年度) 2026年6月23日開催
株主・投資家の主な関心事項
  • 新・中期経営計画において目指す成長ストーリー
  • 円金利ポートフォリオ再構築の進捗状況
  • 今後の資本活用(成長投資、株主還元方針)
  • 将来的な成長を支える新規ビジネスの展望
  • 2025年度業績・配当予想の上方修正の背景
株主・投資家のご意見による開示事例
  • 新・中期経営計画の公表に先立ち、同計画の骨子を先行して開示
  • 「金利のある世界」における中長期的な収益の拡大イメージ、ならびに日本国債ポートフォリオの長期的に目指す姿を開示
  • プライベートクレジットへの不安を払拭するため投資状況を開示
  • キーメッセージ明確化の要望を受け、投資家説明会資料の各ページの要点が一目で伝わるよう、ページ冒頭で主要なポイントを明示

トップメッセージ、社外取締役メッセージについては、こちらをご覧ください。

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