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ESG投融資

ゆうちょ銀行のESG投融資

ESG投融資の推進

ゆうちょ銀行は、2021年5月に公表した中期経営計画において「ESG投融資を推進」を掲げ、「ESGテーマ型投資」の残高を2025年度末4兆円まで拡大する目標KPIを設定しています(2022年3月に当初目標の2兆円から倍増しました)。今後も適切なリスク管理のもと、運用資産の収益向上を図る中で、グリーンボンド/ローンへの投融資等、ESG投融資の推進を通じて、社会全体のGHG排出量削減の取組みを後押ししていきます。

なお、ESG投融資の状況については、定期的に取締役会に報告しており、取締役会の監督のもと、適切に運営しています。

※:
ESG債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド等)、再生可能エネルギーセクター向け与信、地域活性化ファンド等。

ESG投融資方針

気候変動や生物多様性等の環境問題や、人権侵害等の社会問題に適切に対応するとともに、中長期的に安定したリターンの確保・リスク低減を図るため、ESG投融資方針を制定しています。ESG投融資方針は、ゆうちょ銀行が直接行う全ての投融資に適用しています

ESG投融資方針では、積極的に行う投融資や、投融資にあたって留意すべきセクター等について、サステナビリティ委員会等の各種会議での議論を経て、経営会議において制定・改正しています。また、定期的にサステナビリティ委員会や経営会議にてレビューを行い、高度化を図っています。

注:
ゆうちょ銀行が実施可能な法人向け融資業務は、シンジケート団の一員としてシンジケートローンに参加するもの等に限定されています。これは、ゆうちょ銀行が郵政民営化法により業務を制限されており、一般的な商業銀行が行っている法人向けの融資業務など、郵政民営化時に認められていない業務を行うときは、内閣総理大臣および総務大臣の認可を要するものとされているためです。

中期経営計画

ESG投融資方針

グリーンボンド等への投融資

ゆうちょ銀行では、気候変動の「機会」を捉える取組みとして、グリーンボンド等への投融資を積極的に実施しています。

グリーンボンド等の投資事例

独立行政法人住宅金融支援機構が発行するグリーンボンドへの投資

独立行政法人住宅金融支援機構では、省エネルギー性や耐震性など質の高い住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる【フラット35】Sを実施しており、同機構が発行するグリーンボンドは、【フラット35】Sのうち「省エネルギー性に関する技術基準」を満たす新築住宅を対象としており、これらの住宅ローン債権の買取代金を資金使途としています。

ゆうちょ銀行は、住宅ローンラインアップの一つとして【フラット35】Sを取り扱うとともに、同機構のグリーンボンドに投資することによって、環境に配慮した住宅普及に貢献し、気候変動の緩和に資する取組みを実施・支援しています。

環境に配慮した住宅購入を支援する住宅ローン【フラット35】S

独立行政法人住宅金融支援機構が発行するグリーンボンドへの投資について
~温室効果ガス排出削減の取り組みを支援~

独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が発行するソーシャルボンドへの投資

ゆうちょ銀行が同機構のソーシャルボンドに投資した資金は、同機構が担う高速道路事業における債務のリファイナンスに充当され、「持続可能で強靭な国土の形成」、「地方創生・地域活性化」という社会的課題の解決に活用されています。

また、同機構が発行するソーシャルボンドの対象業務は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」(気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化)とも関連しており、ゆうちょ銀行は投融資を通じて、気候変動の適応に資する取組みを支援しています。

瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)

瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)

高速道路の床版取替え工事

高速道路の床版取替え工事
(独)日本高速道路保有・債務返済機構 投資家向け説明資料より

独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が発行するソーシャルボンドへの投資について
~「持続可能で強靭な国土の形成」「地方創生・地域活性化」等の社会的課題の解決を支援~

東京臨海高速鉄道株式会社が発行するサステナビリティボンドへの投資

ゆうちょ銀行が同社のサステナビリティボンドに投資した資金は、サステナビリティ(グリーン及びソーシャル)適格プロジェクトに対する既存投資のリファイナンスに充当され、同社が「中期経営計画2022」で掲げる「沿線地域の発展と持続可能なまちづくりへの貢献」等の実現に貢献しています。

りんかい線全線開業20周年記念ラッピング電車
ホームドアの整備(東京テレポート駅)

東京臨海高速鉄道株式会社のホームページ等より

東京臨海高速鉄道株式会社が発行するサステナビリティボンドへの投資について

SDGs債投資信託(ESGファンド)への投資について

グリーンボンドやソーシャルボンド、サステナビリティボンド等の調達資金がSDGsに貢献する事業に充当される債券(「SDGs債」)を主たる投資対象とする投資信託への投資を開始しております。投資信託を通じてSDGs債に投資をすることで、社会課題解決に積極的に貢献するとともに、中長期的に見て安定したリターンの確保(企業価値の向上)が期待できるものです。

なお、投資信託の選定においては、運用会社の投資発行体および銘柄に対するESGについての分析・モニタリング態勢、実績等を確認しております。

グリーンローン等の融資事例

PFI事業(鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業)向けグリーンローンへの参加

株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」)がアレンジャー(主幹事)を務めるコンセッション方式によるPFI事業(鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業)向けプロジェクトファイナンスの協調融資に参加しています。「SDGs グリーンローン」は三井住友銀行が提供する商品で、資金使途を環境に配慮した事業への用途に限定した上で、同行が所定のファイナンス要件を確認します。加えて、「グリーンボンド及びソーシャルボンド:持続可能な開発目標(SDGs)に照らしたハイレベルマッピング」等に基づき対象事業における SDGsとの関連性を確認し、外部評価機関による評価を取得するローンです。

日野川第一発電所
日野川第一発電所(写真は鳥取県公式サイトより)
中津ダム
中津ダム(写真は鳥取県公式サイトより)

三井住友銀行が組成した「SDGsグリーンローン」によるプロジェクトファイナンスへの参加について
-鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業-

三井不動産向けサステナビリティ・リンク・ローン(協調融資)への参加

株式会社三菱 UFJ 銀行がアレンジャー(主幹事)を務める三井不動産株式会社向け「サステナビリティ・リンク・ローン」の協調融資に参加しています。サステナビリティ・リンク・ローンは、融資先のサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、金利等の貸付条件とSPTsに対する融資先のパフォーマンスを連動させ、SPTs達成への動機付けを与えることで、環境的・社会的に持続可能な経済活動および経済成長を促進し、支援することを目指すローンで、ゆうちょ銀行では初めての取組みとなるものです。
本件は、国際金融業界団体のローン・マーケット・アソシエーション等が定めたサステナビリティ・ リンク・ローン原則に即しており、SPTsを「三井不動産グループ全体の温室効果ガス排出量のうち、Scope1 排出量(直接排出量)+Scope2排出量(エネルギー起源間接排出量)を2030年度までに46.2%削減(2019年度比)すること」と定め、SPTs達成に応じて金利が変動する仕組みとなっています。

三井不動産向け「サステナビリティ・リンク・ローン(協調融資)」への参加について

地域活性化ファンド等への投資(インパクト投資)

地域活性化ファンドへの投資

ゆうちょ銀行は、「社会と地域の発展に貢献する」という社会的存在意義(パーパス)のもと、2021年5月に公表した中期経営計画において重点戦略として「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」を掲げており、地域活性化ファンド等を通じて、地域活性化の重要な担い手である中小企業等へリスクマネー(エクイティ性資金)の供給を行っています。また、これらの投資をESG投融資方針で「積極的に行う投融資」と定め、推進しています。

具体的な投資先(投資分野)としては、成長支援、事業承継、起業・創業の支援等を目的とするファンドに加え、地震・台風等で被災され復興に取り組む中小企業等や新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化した中小企業等を支援するファンド等多岐に渡り、地域活性化に資する様々な分野に資金を供給しています。

また、特定の都道府県を投資対象地域とするファンドや、全国を投資対象とするファンドを通じて、ほぼ全国の中小企業等への資金供給を行っています。
これまでに累計45ファンド(2022年度末時点)に参加し、累計約250億円の投資確約を行っています。また、これまでゆうちょ銀行が参加している地域活性化ファンドから400件を超える中小企業等に投資を通じて支援がされています。
これらの取り組みにより、お客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環し、地域の活性化に貢献しています。

中期経営計画

ESG投融資方針

地域経済の活性化

インパクトファンドへの投資(インパクト投資)

ゆうちょ銀行は、連結子会社のJPインベストメント株式会社が2022年4月に設立した「JPインベストメント地域・インパクト1号投資事業有限責任組合」(以下、「本ファンド」)に出資しました。本ファンドは、地域経済の活性化、SDGsの目標達成に向けた社会的インパクトの創出に資する企業や事業への投資を行い、持続可能な社会の確立を目指すもので、具体的には、国内において成長資金や事業承継等のニーズを有する中堅中小企業、ベンチャー企業及び地域開発事業等への投資を行うことにより、地域への資金循環を通じた地域経済の活性化や社会へのポジティブインパクト創出によるSDGsの目標達成に貢献いたします。投資対象のうち、特に社会的インパクトを有する企業・事業への投資については、「インパクト投資」として、経済的リターンに加えて社会的リターンも追求することでポジティブインパクトの創出を目指しています。

「JPインベストメント地域・インパクト1号投資事業有限責任組合」への出資について

環境負荷低減へ取り組む会社への出資

環境省が設立した「株式会社脱炭素化支援機構」への出資

2022年7月1日に施行された改正地球温暖化対策法に基づき、環境省は、国の財政投融資と民間からの出資を資本金とする新会社「株式会社脱炭素化支援機構」を設立しました。新会社では、脱炭素に資する事業に対して投資を行い、巨額の民間ESG資金を脱炭素投資に振り向ける呼び水となることを目指しています。ゆうちょ銀行は、新会社の本趣旨に賛同し、新会社への出資を行っています。

「株式会社脱炭素化支援機構(JICN)」への出資について

脱炭素化支援機構が設立されました(環境省のサイトにリンクします)

再生可能エネルギーファンド運営会社への出資

ゆうちょ銀行は、再生可能エネルギーファンドの設立や事業運営を行う「Zエナジー株式会社」および同社が設立した「カーボンニュートラルファンド1号投資事業有限責任組合」への出資を行いました。これらの出資を通して、気候変動というグローバルな社会課題に対応し、かつ2050年の日本のカーボンニュートラル、脱炭素社会の構築に向け、再生可能エネルギーの一層の普及、さらなる市場拡大を図るとともに、同エネルギーに係る地方創生への貢献等にも取り組んでいきます。

再生可能エネルギーファンド創設に向けた新会社への出資について

「カーボンニュートラルファンド1号投資事業有限責任組合」への出資について

環境・社会に配慮した投融資の実施

ゆうちょ銀行は、資金運用業務において、気候変動・生物多様性・先住民や地域住民の人権等、環境問題や社会問題に適切に配慮することとしています。

2024年4月には、投融資における人権課題と、その課題に対する防止・軽減策を明確化しました。なお、2023年度末時点で、石炭火力発電事業にかかるプロジェクトファイナンスの残高はありません。

プライベートエクイティ投資におけるESG考慮

ゆうちょ銀行では、プライベートエクイティ投資において、投資決定(運用委託先選定)にあたってESGの要素を考慮することとしています。具体的には、運用委託先を選定する際に国連が支持している責任投資原則(Principles for Responsible Investment、PRI)の署名者であることを必須条件にするとともに、運用委託先によるPEファンドデューデリジェンスにおいて、ゆうちょ銀行のESGにかかる方針(国際条約(ワシントン条約・ラムサール条約等)に違反する事業や、児童労働・強制労働を行っている事業への投資を禁止しているか等)の遵守を確認することを義務付けています。

また、「ESG DATA CONVERGENCE INITIATIVE」に加盟し、同イニシアティブを通じて、投資先ファンドのESGに関するデータ・報告の標準化を働きかけています。

不動産投資におけるESG考慮

ゆうちょ銀行では、不動産投資において、ESGの要素を考慮することとしています。具体的には、投資戦略において環境性能の高い物件への投資を嗜好しており、環境に配慮した運用委託先を多く選定しています。
また、投資検討時には、反社会的勢力の排除やギャンブル関連施設への投資禁止等、ESG観点からのネガティブスクリーニングの実施に加え、物件の環境認証の有無やGHG排出量について分析を行っており、投資実行後には、当行ポートフォリオをGRESBやグリーンビル認証、委託先運用業者のESG格付け等を用いてモニタリングを実施しています。
このほか、不動産会社やファンドのESGへの取組みを測るベンチマーク評価を提供するGRESBの投資家メンバーに加盟しており、エクイティ投資対象の運用者にもGRESBへの参加を推奨しています。

(参考)JPインベストメント株式会社におけるESG考慮

JPインベストメントでは、ESGの推進を通じて、経営理念の実現を図り、同社及び社会の持続可能で健全な成長・発展を確保するため、「ESG取組基本方針」の下に事業活動を行っております。
投資プロセスにおいては、リスク管理及び運用による付加価値向上の観点から、ESGを含めた様々な非財務情報による評価を運用プロセスに取り込み、その評価を踏まえた上で投資判断を行っています。

JPインベストメント株式会社 ESG取組基本方針(JPインベストメント株式会社のサイトにリンクします)

投融資先との建設的な対話(エンゲージメント)、議決権行使

ゆうちょ銀行は、ESG投融資方針において、投融資先との建設的な対話(エンゲージメント)や議決権行使を通じて、投融資先の持続可能な成長や社会課題解決に向けた取組みを後押しするとともに、投融資先の非財務情報の開示充実を求めていくことを掲げています。

エンゲージメント

2021年度下期から、GHG排出量高排出セクターを中心に、気候変動対応をメインテーマにエンゲージメントを実施しています。

2022年度から、環境以外にも、人権尊重に関する取組状況(社会)や、女性管理者数比率向上に向けた取組状況など(ガバナンス)についても対話をしています。

エンゲージメントの実施状況と実施したテーマ(2023年9月末時点)

エンゲージメント
実施件数
 
環境
(気候変動・生物多様性)
社会
(人的資本・人権)
ガバナンス
(女性管理者数比率等)
29 29 18 10
実施件数には、1社に対して複数回実施したものも含まれています。

議決権行使

ゆうちょ銀行では、株式自家運用において「議決権行使方針」を制定していますが、実際の議決権行使にあたっては、形式的に判断するのではなく、ESG要素を含む非財務情報や対話状況等も考慮することとしています。

なお、当行は、2022年度末時点で自家運用では株式を保有しておらず、議決権の行使は実施しておりません。

運用受託機関における議決権行使結果は以下のとおりです。

議決権行使方針(PDF/257KB)

運用受託機関の株主議決権行使結果(PDF/58KB)

長期投資を行う機関投資家としての取り組み

ゆうちょ銀行は、お客さまからお預かりした貯金等を主に日本国債や外国社債等の有価証券で運用するビジネスモデルとなっており、長期投資を行う機関投資家として、投融資先との建設的な対話(エンゲージメント)等を通じて、投融資先の持続可能な成長や社会課題解決に向けた取組みを後押しすることを目指しています。

2022年度における平均総資産残高に占める売却額は16.1兆円で、回転率は7.1%となっています。

※:
回転率は売却額/総資産平均残高として算出しており、小数点以下第二位を切り捨てています。