ゆうちょ銀行では、環境・社会および企業活動にも大きな影響を及ぼす気候変動等への対応を経営上の重要課題の一つと認識し、2019年4月にTCFD※1提言への賛同を表明しました。以降、各種取り組みを経営戦略に組み込み、パリ協定の目的と目標に整合的となるよう対応の高度化を進めています。
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ゆうちょ銀行では、気候変動関連のリスクと機会を以下のとおり特定しています。
リスクと機会 | 内容 | 期間※2 | 財務影響※3 |
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物理的リスク |
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短期 | 小 |
移行リスク |
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中~長期 | 中 |
機会 |
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短~長期 | 中 |
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2024年3月末の貸出金に占める炭素関連資産やサステナブルファイナンスの残高・割合は、下表のとおりです。
(単位:億円)
炭素関連資産 | サステナブルファイナンス | |||
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炭素関連資産残高 | 3,588 | サステナブルファイナンス残高 | 1,723 | |
グリーンローン、ソーシャルローン サステナビリティローン |
680 | |||
サステナビリティリンクローン | 194 | |||
その他※ | 849 | |||
炭素関連資産の割合 | 5.2% | サステナブルファイナンスの割合 | 2.5% |
移行リスク
シナリオ |
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対象 |
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分析方法 |
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対象期間 | 債券:各債券の償還期限まで 株式:2100年まで |
分析結果 | ▲約6,000億円(時価評価額の最大下落額) |
財務への影響 |
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物理的リスクは、当行が全国に設置・保有しているATM・窓口端末機等の設備への影響について定量分析を実施しました。ハザードマップを用いて現時点で想定される洪水発生時の浸水深をもとに、当行設備が受ける被害額を算定したところ、今後100年間累計で約250億円と試算されました。気候変動により、洪水発生頻度は2℃シナリオでは約2倍、4℃シナリオでは約4倍に高まることが想定されますが、各設備は全国に分散して設置されており、同時に被害を受けるリスクは少なく、財務戦略への影響は限定的と考えています。
物理的リスク
シナリオ | IPCC RCP2.6(2℃シナリオ)※7 | IPCC RCP8.5(4℃シナリオ)※7 |
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対象 |
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分析方法 |
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対象期間 | 今後100年間 | |
分析結果 | ▲約500億円 | ▲約1,000億円 |
財務への影響 |
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ゆうちょ銀行では、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しており、気候変動等に係るリスクをトップリスクのひとつと位置づけています。当該リスクへの対応を経営計画に反映し、経営企画部に設置されているサステナビリティ推進室が定期的にコントロール状況を確認したうえで、必要な対応を行っています。
気候変動への影響が大きいセクターや各種国際合意等を踏まえたESG投融資方針に基づき、国際分散投資を推進しています。
当該方針については、今後も、機関投資家としての気候変動に対する義務の履行、貢献の観点から、さらなる充実に向けて検討していきます。
気候変動への影響が大きい企業に対し、エンゲージメントを実施しました。事例は以下のとおりです。
企業 | 主な対話内容 |
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電力セクターA社 | GHG排出量の削減目標は設定済で、達成に向け努力している。その一環として、住民理解を得ながら原発再稼働を目指しつつ、混焼技術開発等にも取り組んでいる。 |
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気候変動に関するリスクを評価・管理するため、GHG排出量の削減目標を設定しています。また、気候変動に関する機会獲得を評価・管理するため、ESGテーマ型投融資の残高目標を設定しています。詳細については、関連情報をご覧ください。
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