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女性社外取締役とのラウンドテーブル >女性がさらに活躍できる企業風土づくり

多様な人財が活躍する企業風土を醸成することは、当行の企業価値向上に不可欠です。当行では2026年4月までに女性管理者数比率20%達成の目標を掲げ、女性がリーダーシップを発揮できる環境の構築を目指しています。
今回、女性社外取締役2名と当行の女性管理者がラウンドテーブルを実施し、仕事への向き合い方から女性リーダーの育成に向けた当行の課題、それが経営に与える影響等について、議論を交わしました。

写真:テーブルを囲んで談笑する女性たち

女性社外取締役

社外取締役

粟飯原 理咲さん

チャレンジした人を
評価する制度が、
さらなる変革を進める

社外取締役

天野 玲子さん

育児を経験したことが、
マネジメント能力向上に
つながった

参加者

井澤 朗子・市村 美菜子・岡 麻樹子・
倉澤 慶子・後藤 幸代・小林 実貴子・
坂本 亜紀・西村 満美子・濱口 邦恵・飛良 薫
吉田 優子 執行役
斎藤 美香子 ダイバーシティ推進部長

テーマ1ポジションアップで変わる意識

粟飯原さん:

私は会社員から経営者になった時に、大きく3つの変化がありました。1つ目は、経営者としての覚悟です。すべての最終決定が経営者である自分に委ねられるとともに、会社で起こるさまざまなトラブルすべてに責任を持つことになり、それを受け止める覚悟を持つようになりました。2つ目は働き方の変化です。会社員時代は、体調を崩せば仕事を休むこともありましたが、経営者となった今は、簡単に休むことはできません。日頃から常に体調をコントロールし、コンディションを一定に保っています。3つ目は、自分は完璧ではないことを自覚するということです。経営には財務、人事、営業など、さまざまな領域がありますが、一人ですべての分野に通じることは難しいです。自分ができないことは人に任せる柔軟さ、協力体制を築くことの重要さに気づきました。

市村さん:

私は、常に前向きに仕事をしたいと思っていますが、モチベーションを維持し続けることはなかなか難しい面もあります。常に自分の内側にあるモチベーションを維持し、またより高めるためには何が大切でしょうか。

天野さん:

大事なことは、どんな仕事であっても与えられたことに対しては本気で理解しようと努力することです。私はゼネコン勤務時代に、ほとんど知見のない部門に配属されたことがあります。男性ばかりの部門の中で、右も左もわからない中でしたが、ひとつずつ業務内容を理解しようと毎日奮闘しました。そのような私の必死な姿を見た周囲の男性社員は、次第に協力してくれるようになり、私の能力や価値観も認めてくれるようになりました。仕事に対する真摯な姿勢や努力は必ず誰かが評価してくれます。そして、それがモチベーションアップにもつながると思います。

テーマ2ワーク・ライフ・ハーモニー

粟飯原さん:

私は、気持ちのバランスを大切にした「ワーク・ライフ・ハーモニー」をモットーに、とにかく明るく仕事をしています。トップがご機嫌でなければ、会社の雰囲気は悪くなります。もちろん、仕事がうまくいかず落ち込むこともありますが、そんな時でも帰宅の電車内では気持ちを切り替えるという自分のルールを徹底しています。特に女性は真面目な方が多いので、気持ちの切り替えがすごく大事だと思います。

飛良さん:

私は育児中で時短勤務をしており、ワーク・ライフ・バランスをとるのが難しいと感じていました。いかに効率的に仕事をマネジメントできるかを考えていましたが、ワークだけで考えるのではなく、気持ちをうまく切り替えて、明るく仕事をすることでバランスがとれていくというアドバイスはとても参考になります。

天野さん:

私も育児中には、どのように時間を分配し、効率的に進めるか考えて工夫していました。両立は大変でしたが、この経験を通じてマネジメント能力が飛躍的に向上したと感じています。仕事の重要度を見極め、「やるべきこと」と「やらないこと」をしっかりと判断し、成果を上げていくスキルが磨かれました。私だけではなく、育児を経験した社員はこうしたマネジメント能力の向上が顕著にみられると思います。

写真:笑顔の参加者たち

テーマ3女性活躍を進めるためのしくみづくり

粟飯原さん:

当行は、女性管理者数比率20%に向けて取り組んでいますが、目標に届いていないのは、個人の能力よりしくみの問題だと感じます。管理者の評価基準に女性管理者の登用率を加える等、しくみ上の改革も必要です。また、女性は能力が十分あっても、自信を持てない傾向があって、管理職はできないと思い込んでいる人も多いです。そんな女性社員の背中を押せるよう、失敗をおそれずにチャレンジする人を評価するしくみを作ることも、女性登用を進めるうえで重要だと感じます。

天野さん:

評価システムを変えていくことは、賛成です。上司が適正に女性社員を評価して、後押ししてあげることで、その力を最大限に発揮できると思います。女性社員側も、もっと自信を持ってほしいです。どんどんチャレンジして、うまくいかなければ、率直に失敗を認め、その経験を次にいかせばいいのです。日頃から、自信を持って堂々と語尾まではっきり話す、結論をしっかりと伝える。そうすることで、聞く側の納得感はより深まります。

倉澤さん:

男性は、幼いころからしっかりするようにと育てられるためか、自信を持っている人が多いと感じます。一方、女性は昇進となると一歩引いてしまいがちです。女性社員が自信を持つことは大切だと思いますが、評価する側としても、当人の実力をしっかり見極める目を磨いていきたいと考えます。

西村さん:

男性は上を目指していくという使命感が強く、それに見合った能力を身に付ける努力をするため、男性 に管理者をアサインしやすい傾向はあると思います。一方で、女性に対しては、管理者をアサインすることが、当人の負担にならないかと慎重になってしまいます。管理者として、こうした性差への偏見はできるだけ排除し、ダイバーシティを推進していきたいです。

後藤さん:

女性管理者がもう少し増えることにより、多様性が取り入れられ、意見の幅も広がると思います。育児中の女性社員が営業しやすい職場環境を整備するなど、私の経験からまだまだやれることをやっていきたいです。決定権を持つ女性管理者が増えることで、変革のスピードが上がってくることを期待しています。

写真:話をする女性と聞き入る女性

テーマ4コミュニティの活性化を仕事にいかす

天野さん:

私がゼネコンに勤務していた時には、社外の委員会などに参加する機会がとても多く、建設業界とまったく異なる分野の価値観に触れることができました。そして何よりも人的ネットワークを大きく広げられたことが、その後の成長の糧になりました。だから、皆さんにも、もっと他の分野の人たちと接してほしいです。外部の世界を知ることで、考えやアイデアの幅は広がりますし、これから世の中がどのように変化していくかを知ることができます。

粟飯原さん:

人はチャレンジしてこそ成長できるもので、それには社内での仲間も必要です。上司や部下との関係が崩れると機能不全を起こす縦組織にはもろさがあります。それとは別に、応援してくれる斜め、横の関係を作ることができる、部署横断のコミュニティを会社として作ってみるのもいいと思います。さらに、他行とも連携した女性活躍のチーム等、社外と情報を共有する活動ができると、個人にとっても会社にとっても大きなプラスになるのではないでしょうか。

濱口さん:

最近、社内で始まった部署横断の1on1に参加したところ、私自身が多くの学びを得ました。他部門のメンバーの話を聴くことで、新しい知識や部門間の関係性が見えてくることがあります。また、私の発言により、新しい気づきを得てくれることも嬉しいと感じました。こうした施策の意義を広く認知させ、社内のネットワークを拡大する取り組みをさらに進めていきたいです。

岡さん:

私の上司はこれまで男性ばかりであったため、女性管理者のイメージがつきづらいと感じていました。しかし、本日ロールモデルとなるたくさんの管理者の方からお話を伺うことができ、マインドチェンジの大きなきっかけになりました。これまでの考えは捨て、臆することなく自分が信じることにチャレンジしていきたいです。

坂本さん:

私は転職で入行しましたので、同期などとの横とのつながりを感じることができませんでした。現在の私の業務の中でも、社内の横のつながりがあれば、もっと効率的に進むようなことは多々あります。今後もこうした機会を通じて、自身の見識を深めるとともに、社内連携をさらに強化していきたいと思います。

井澤さん:

私は外資系の金融系企業から当行に転職してきました。その時に感じたのは、当行には日本企業特有の保守的なカルチャーが残っており、新しい取り組みや改革の発信を躊躇させる雰囲気があったことです。今後の当行の成長を担っていく若い人財を採用していくためにも、ここにいる皆さんのお力も借りながら、学ぶ意欲もあり、チャレンジしたいと思っている貴重な人財が一歩踏み出せるような組織への改革を、少しずつ進めていきたいです。

小林さん:

私は民営化したゆうちょ銀行に将来性を感じ、民営化第一期生として入行しました。これまで学べることは全部吸収したいと考え、臆することなく、前向きに業務に取り組んできました。ただし、周りの女性社員を見るとまだまだ遠慮している部分があると思います。しくみによって解決できることは、どんどん改善するべきです。今日のようなコミュニティをこれからさらに広げていき、女性がますます活躍できる環境をつくっていきたいです。

吉田さん:

社員一人ひとりの特性に合わせて、成長を支援して人財育成していくという点では、女性管理者が得意な印象があります。まだまだ男性管理者の多い職場ですが、この先もっと決定権を持つ女性管理者が増えていけば、人財戦略もより加速していくと思います。

写真:笑顔のふたりの女性

テーマ5女性の視点をサービス改善、イノベーションに

粟飯原さん:

ゆうちょ銀行が今後、急速に進化するデジタル技術をサービスにうまく取り入れ、新規事業を生み出し、変革を遂げていくためには、単独で行うのではなく、IT企業等と協業していくことが重要となります。そこでは、お客さま目線で考えることができ、外部とうまくコミュニケーションをとれる女性社員は活躍の幅を拡げていけると思います。また、既存部門では、まだまだ女性がトップになることは難しくても、新規の事業にはチャンスがあると思いますので、どんどんチャレンジして、上位の役職を目指してほしいです。

天野さん:

ゆうちょ銀行には金融の殻に閉じこもりがちな傾向が見受けられます。それを打破して、従来の銀行業務にとどまらない幅広いサービスを開拓していくためには、生活者のニーズを機敏に捉えることのできる女性の感性がますます重要になってくると思います。昔の上司に言われた言葉で「どのような立場でも決定権を持つのは面白い」というものがありました。皆さんにも決定権のある役職にチャレンジしてほしいです。

斎藤さん:

皆さまからの自由闊達な意見を聴け、とても有意義な時間となりました。社外取締役のお二人からさまざまなエピソードを踏まえ、応援メッセージをいただきました。それぞれが感じたことを大切に、今後さまざまなコミュニティづくりなど、ともに盛り上げていきましょう。我々一人ひとりが想いをつないでいくことが、経営や会社全体にもよい影響を与え、会社を変革していくことにつながると思います。本日はありがとうございました。