1. ホーム
  2. 社会
  3. 人財
  4. 「多様性を活かす」(3つの柱⑶)
  5. ゆうちょ銀行のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン戦略

ゆうちょ銀行のダイバーシティ・
エクイティ&インクルージョン戦略

ゆうちょ銀行は2016年にダイバーシティ推進部を設置し、女性活躍をはじめとしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(「多様性・公正性・包摂性」、以下「DE&I」)推進に向けた様々な施策を展開してきました。これまでの歩みを振り返るとともに、これからの方針・戦略をご紹介します。

DE&I(Diversity、Equity&Inclusion)の認識DE&Iを尊重する風土の醸成

ゆうちょ銀行の目指す姿を実現するためには人的資本への投資をさらに進めていく必要があります。人事戦略の3つの柱の1つ「多様性を活かす」の重点取り組みである「DE&Iマネジメント」はその中でも特に重要です。変化が大きく想定外の種々のリスクに備えなければならない時代にあって、サステナビリティの観点でもDE&Iなくしては企業の成長は望めません。

経済・金融環境変化、IT化の進展等により社会構造が急速に変化し、人々のライフスタイルも金融サービスのニーズも多様化しています。過去の経験知では対応できない状況の中、新たな価値創造、社会変革やイノベーションに繋げていくためには、社員一人ひとりの多彩な知見と感性、スキルを経営に活かしていかねばなりません。当行は1875年(明治8年)の創業以来、日本全国で金融インフラを維持してきた金融機関として、今後も様々な環境の各地のお客さまのニーズに応えていく必要があります。そうしたニーズに応えられる多様な人財が活躍できる環境を構築し、DE&Iを尊重する誰もが安心して意見を言える風土を醸成し続けることは、重要な経営課題のひとつです。

これまでの取り組みマインドセットの変革を目指し、DE&Iネットワークを構築

ゆうちょ銀行では、2016年度にDE&Iに関する取り組みを本格化し、以降、女性活躍や障がい者雇用、LGBTQ+への対応など、さまざまな活動を展開してきました。特に力を注いできたのは管理職の意識改革です。具体的には、研修などを通じてイクボスを育成する「ゆうちょイクボス養成」活動を進めてきました。現在は、経営陣も「イクボス宣言」を行い、それぞれが社員とのかかわり、自らの行動を意識し、社員のキャリアとライフを支援しています。
※ 部下のワーク・ライフ・バランスを考え、部下のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司。

こうした活動の結果、女性管理者数比率は着実に向上し、2016年には10.9%だった同比率が17.5%(2023年4月時点)にまで向上し、2024年は、「女性活躍推進」に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選定されました。障がい者雇用率も高い水準で維持できており、法定雇用率2.3%を大きく越える2.94%(2023年6月時点)となっています。また、LGBTQ+等の性的マイノリティに関して企業の取り組みを評価する「PRIDE指標」においても2018年より継続して「ゴールド」の評価を獲得しています。

数値的な成果以外の取組としては、「ゆうちょダイバーシティ・コミッティ」の活動があり、本社やエリア本部、貯金事務センター、店舗などの社員の代表者からなるメンバーが各組織の課題を踏まえ、様々な施策を展開しています。施策の一つである社長とメンバーとの交流の場は双方が本音で語り合える、貴重な機会となっています。年に1回程度開催しているイベント「ダイバーシティ・フォーラム」では、オンライン形式にて全国約400名のメンバーが集まり、経営陣と当行のDE&I戦略について認識を共有しています。コミッティ活動を通じ、多様なお客さまの生活に寄り添う社員が、経営陣に、それぞれの経験や感性を生かしたアイデアを提供するという意味で、当行の経営においてDE&I推進は必要不可欠です。

ゆうちょダイバーシティ・コミッティの図
ダイバーシティに関する取り組み

今後の目標・方針多様な人財がイキイキ働くウェルビーイングを実感できる銀行へ

これまでの取り組みが一定の成果となってきたところですが、まだまだ満足すべきではないと思っています。そこで、2021年度にスタートした中期経営計画では、2025年度の目標として「女性管理者数比率20%」、「育児休業取得率100%」、「障がい者雇用率2.7%以上」を設定しました。数値にだけこだわるわけではないものの、DE&I推進を重要な経営課題と位置づけていることを社内外に明確に示すという意味でも、また、進捗を測定していくためのKPIとして目標設定が必要だと考えたためです。

女性活躍推進では、管理職や役員候補を着実に増やしていきます。そのためには、これまでのD&Iの視点にEquity(公正性)を意識し、全ての社員に活躍できる居場所があること、事情を抱えていても働き続けられる環境を整えることが欠かせません。近年は自発的に次の世代の社員をサポートする風土が醸成されてきました。育休中の社員を対象としたオンラインセミナー、Web社内報で働くパパ・ママのロールモデル紹介など、小さな対話の積み重ねの一つひとつが当行のDE&Iの基盤づくり、意識改革に繋がっています。

現在は男性社員も積極的に育休を取得するようになり、子育てを通じた様々な体験をもとに、より一層活躍しています。また同じ職場で一緒に働いている障がいのある社員やLGBTQ+等の社員の感性や考え方からも学ぶことが多くあります。個性ある社員の能力を業務の中でどう発揮してもらうかというマネジメントがとても重要になってきています。多様な人財がイキイキと働き、新たな課題発見と解決に繋げてこそイノベーション、それにはオープンマインドでいられる心理的安全性が高い職場づくりが欠かせません。そのためにも、当行は組織風土改革に注力し、「縦の目詰まり」や「部門間の壁」といった課題の解決に取り組んでいきます。

そして、共に働く当行社員一人ひとりが個性を活かし、変化に対応しながらしなやかにキャリアを形成していけるよう成長を支援していきます。多様な属性や感性を受け入れる環境を整備し、社員一人ひとりが、自律的かつ主体的に働け、やりがいを感じられるウェルビーイングを実感できる銀行を目指します。

ゆうちょ銀行は、DE&Iを推進し、イノベーションを活性化させ、仕事にワクワク取り組み、やり抜く力を高めていくことが、これからの成長戦略の土台になると考えます。多様な視点から、それぞれの地域にあったサービスを提供し、新たな価値創造に繋げ、多様性・持続性の高い社会の実現を目指します。